格闘技をはじめたい!格闘技の種類を知りたい!強くなることに興味がある!
と思っても、世の中には本当にたくさんの格闘技のジム・道場がありますよね。
この記事では、世の中にある格闘技の種類を一覧化すると共に、これから学ぶ事を前提にわかりやすく分類します。
格闘技の種類
世の中には、本当にたくさんの種類の格闘技が存在します。
ここでは、格闘技の種類を、大きく分けて立ち技系・組み技系・実戦系と分けて紹介することとします。
- 立ち技系: 立った状態でパンチ・キックなどで戦う種類の格闘技です。どちらかが倒れた場合試合が中断されます。
- 組み技系: 相手と組んで投げたり、関節技を極めることで競う種類の格闘技です。パンチやキックなどは使いません。
- 実戦系: ルールなし・またはルールを最大限少なくし、実戦性を重視した種類の格闘技です。立った状態でのパンチ・キックの攻防から相手と組んでの投げ・極めまでを一貫して行います。
立ち技系格闘技
伝統派空手
空手の中でも型を重視し、寸止めで綺麗に突き蹴りが当たったら一本というようにポイント性で競います。
型を重視し、試合でも怪我が起こりにくいため、老若男女が継続しやすい種類の格闘技です。
逆に実戦性を求める場合、相手を倒すまでの連打や、打ち合いの中での攻防は練習の中で学びにくいという欠点もあります。
厳密には伝統派空手という競技はなく、いくつもの空手の流派が総じて伝統派空手と呼ばれています。
フルコンタクト空手・極真空手
極真空手を始めとするフルコンタクト空手です。
素手・素足で行う数少ない格闘技で、相手が倒れるまでバチバチの殴り合い・蹴り合いをします。
筋力トレーニングを練習の中に含める道場も多く、従来の伝統空手よりも現実的な強さを求める種類の格闘技です。
試合では顔面へのパンチが禁止されているため、距離感がおろそかになりがちな弱点もあります。
そのため、フルコン空手からK-1などのキックボクシングルールに出場した選手は顔面への防御が甘く、破れてしまうような例も多くあります。
ボクシング
パンチのみに特化した格闘技です。
グローブをはめて、3分(アマチュアだと2分の場合もある)×複数ラウンド戦います。
どちらかが倒された場合、レフェリーに依るカウントが始まり、10カウント以内に立ち上がらないと負けとなってしまう競技です。
使える武器はパンチのみ、狙える場所はベルトから上という非常に限定的な格闘技です。
限定的であるからこそ、パンチ技術の発達が目覚ましく、非常に高いパンチスキルを身につける事ができます。
キックボクシングや総合格闘技の選手がパンチ技術を求めて、ボクシングジムに通うことも多いほど、特筆したパンチ技術があります。
実戦・喧嘩を想定した場合の弱点は、ルールが限定的なことです。
蹴りやタックル・寝技などは想定されていません。
ボクシング特有のしゃがみ込むほどのダッキングや、相手との距離を潰すクリンチなどになれていると、組技をかけられた場合には対処できないでしょう。
ムエタイ・キックボクシング・グローブ空手
ボクシングに似ていますが、パンチ・キック・膝・肘などを使う事ができ、相手の脚への攻撃も認められています。
たまに『キックボクシングはパンチも使えるの?』という方がいますが、使えます。
勝敗のルールはボクシングとほぼ同じ種類の格闘技で攻撃手段を拡張したものとお考えください。
元々キックボクシングは打倒ムエタイから日本で考案されており、基本的には同じルールと考えて良いです。
近年ではグローブ空手など一部の空手でも似たルールを採用しています。
団体によって、肘の禁止や、相手を掴んでの膝の制限など、細かい違いがあります。
強みは攻撃の豊富さで、ムエタイの首相撲(掴んでの膝)などは立ち技と言いつつ組技としての技術体系も持っています。
ほぼ立ち技の中で何でもありなキックボクシング・ムエタイですが、強いて実戦・喧嘩との差分を見るのであれば、グローブをつけていることにより、素手での打撃とは打ち方が多少異なる点、掴みからの打撃がない点といえます。
シュートボクシング
キックボクシングに似た種類の格闘技ですが、キックボクシングに加えて、投げ技・立ち関節を使うことができます。
打撃によるKO、関節技でのタップアウトの他、投げ技にはシュートポイントというポイントが加算され、判定に使われるような仕組みになっています。
より使える技に幅があり、様々な技やその対応を身につけることができます。
一方で、寝技はできないが、立ち関節はできるという制約から出てくる技術もあり、関節技に関しては実戦性はあまり高くないとも言えます。
サバット
フランス式ボクシングの別称で、靴を履いて戦う事を特徴としています。
こちらもキックボクシングに似た種類の格闘技ですが、キックボクシングやムエタイは裸足にたいして、サバットは靴を履いて蹴りを打ちあいます。
靴を履いているが故に、ムエタイのようなスネを当てるのではなく、硬い靴のつま先を当てる攻撃が存在します。
実戦や喧嘩ではほぼ間違いなく靴を履いていることから、それだけ実戦的であるとも言えます。
細かい部分で言えば、膝蹴りが禁止されている、靴以外での蹴りが禁止といった、他の立ち技との差分もあります。
カポエイラ
ブラジルで奴隷が武術の練習をしているのを隠すためにダンス見せかけて練習したという格闘技です。
その由来から、格闘技という側面の他、音楽に併せて踊るといった楽しみ方も含まれています。
逆立ちをしたり回し蹴り、足払い、頭突きなど、アクロバティックな武器を持っています。
競技としてはKOするまで戦うような種類の格闘技ではなく、楽器の演奏に併せて寸止めで勝ち負けを競うゲームのようなものです。
テコンドー
足技を重視している立ち技格闘技です。
後ろ回し蹴りや飛び蹴りといった、多様な蹴り技を持っています。
パンチはボディへだけ認められていますが、使用頻度は多くありません。
蹴り技の中でもジャンプしてのキックや、回転してのキックが多くのポイントを得られるため、実戦的にダメージを与える蹴りというよりも、よりポイントを得られるキックを狙う傾向があります。
ミャンマーラウェイ
最もルールの自由度が高い立ち技格闘技といえるでしょう。
あらゆるパンチ、あらゆるキック、頭突き、肘・膝、投げなど全てが認められています。
その上、グローブを付けずにバンテージのみで行うという過激なルールです。
試合方法はキックボクシングの同じ種類のものですが、上記の通り制限が少なく、流血することも他の格闘技の比ではありません。
禁止事項としては、金的・目突き・噛みつき・ひっかきがあります。
組み技系格闘技
柔道
日本発祥の投げ技を主体として種類の格闘技です。
当身(打撃)を一切捨て、組み合って投げることに特化しています。
組技・投げ技の強さには定評があり、総合格闘技に転向しても活躍する選手は吉田秀彦選手や、平田樹選手など、多くいらっしゃいます。
実戦的には、打撃への適応と、寝技が課題(柔道では比較的すぐに止められて立ち技に戻る)です。
ブラジリアン柔術
ブラジルにて、かの有名なグレイシー一族が柔道から発展・体系化した格闘技です。
柔道と異なる点は、寝技になっても試合が止まらない点です。
なんなら自ら下に入って、関節技を極めるといった技術さえも発展しています。
今や総合格闘技を学ぶ場合には必須科目であり、柔術を知らない相手には圧倒的な強さを発揮します。
また、服を着ての競技であり、服を掴み技術も多用するため、ある意味では裸で戦う総合格闘技より実戦的であるといえます。
近年では競技化が進み、打撃がありのルールだと使いにくいような寝技技術も出てきているため、実戦・喧嘩で使うためには技術の取捨選択が必要です。
相撲・モンゴル相撲
土俵の中で押し合い・組み合いを行い、足以外が地面につくか土俵から押し出されたら負けというシンプルな日本の国技です。
最たる特徴はプロには階級がなく、無差別に戦うことです。
そのため、相撲取りは体を極限まで大きくして戦います。
大きい=強いという現実的なことを突き詰めるという点は他の競技にはない特徴でしょう。
競技としての側面が大きいため、打撃技や関節技など、格闘技として相手を倒す技術が少ない点は考慮が必要です。
レスリング
組み・投げを使って、相手の両方をマットに押し付けると勝ちとなる種類の格闘技です。
アマレスリングとも呼ばれていますが、プロレスリングとはいわゆるプロとアマの関係ではありません。
全身を使えるフリースタイルと、上半身だけを使ったグレコローマンスタイルがあります。
相手を倒し、抑え込むという点で高い技術を持ち、総合格闘技でも活躍する山本KID選手、浅倉カンナ選手、デメトリアス・ジョンソンなどもアマレスリング出身で、技術の実戦への適用度が高いことがわかります。
打撃への対応を除くと大きな穴は見当たらなく、組技の中では最も実戦的と言える格闘技の一つです。
サンボ
柔道とレスリングを組み合わせたような種類の格闘技です。
レスリングマット上で上半身道着・下半身はショーツ、靴着用で試合を行います。
投げ技・関節技が有効です。
ロシアの国技であり、プーチン大統領が習得されていることでも有名です。
世界最強と謳われたエメリヤーエンコ・ヒョードルもサンボ出身の選手です。
立った状態だけではなく、寝技・関節技への対応も身につけられることが特徴です。
投げ技に関しては、『投げる側が立った状態で、相手を背中から落とす』必要があり、柔道よりもやや制約が大きいです。
実践系格闘技
総合格闘技・MMA
ボクシング・レスリング・柔術などの技術を活かし、少ないルールの中で実戦的に戦う種類の格闘技です。
MMA(Mixed Martial Arts)とも呼ばれます。
実戦的でありながら、技術体系や試合の制度があり、競技人口と併せて、実戦性を求めるならば筆頭候補となる格闘技です。
各種格闘技を組み合わせるため、習得に時間がかかるという特徴もあります。
大道塾空道
着衣で打撃・組技・関節技・頭突き・(体格差がある場合は)金的なども有効という非常に実戦的な格闘技でありながら、しっかりとした防具をつけることで安全性も確保しています。
元々フルコンタクト空手に限界を感じたことが発祥の発端と言われ、日本発祥ながらロシアでは日本よりも競技人口が多いといったように高い競技人口を誇っています。
顔面の防具である硬いヘッドギアが安全であるが故に距離感への違和感やダメージを受けたときの対応などが弱点として挙げられることもあります。
日本拳法
日本初の総合格闘技とも言われる実戦的な格闘技です。
打撃・寝技が認められており、硬い防具をつけて、実戦的な組手中心でトレーニングを積むことが特徴です。
実戦との差分としては、グローブがオープンフィンガーではないため相手を掴むことができないこと、一本取ったら試合が止まるルールのため、防御がおろそかになりがちという点があります。
少林寺拳法
空手のような突き蹴りと、合気道のような投げ技が合わさったような格闘技です。
良く間違われるのですが、日本の香川発祥の武道であり、中国の少林寺とは全く関係がありません。
少林サッカーにも関係ありません。
打撃中心の剛法、投げ技の柔法の両面を学ぶことができます。
柔法は柔道のような投げではなく、主に合気道で言う小手返しのような技が主となります。
競技としては演舞(型を行って採点する)が中心となり、乱取り(実戦練習・スパーリング)はありません。
そのため、道場によっては実戦で使う練習をすることができない場合があります。
ジークンドー
ブルース・リーが、様々な種類の格闘技を参考に作り上げた格闘技です。
元々詠春拳という中国武術を元にしながら、近代格闘技も柔軟に取り入れてオリジナルの格闘技に昇華されたものです。
実戦性を重視し、金的や目潰しも含めて、最短で敵を倒すことに特化しています。
最速で攻撃を当てるため、利き手を前側(ボクシングなどとは逆)に構え、フェンシングのようなリードストレートを繰り出す戦い方をします。
国内では、あまり普及していないことや、複数人相手も想定しているため寝技などは行わないことが弱点としてあります。本当に成熟するまでは対応できない状況も発生しうること
最近ではYoutubeなどから、達人が本当にすごい実力をもっていることがわかってきています。
太極拳
健康法としても日本・中国・アメリカなどで用いられる武術ですが、起源としては中国で戦闘術として伝承されてきたものです。
技術体系としては、接近した状態での投げ技や関節技を主としています。
あくまで伝統的な技術体系を継承していますので、現代的な突き蹴りへの対応などは考慮しづらい種類の格闘技です。
コマンドサンボ
競技としてのサンボをベースとして、打撃技・関節技・刃物への対処などが含まれた軍隊格闘技です。
PRIDEで活躍したエメリヤーエンコ・ヒョードル選手が有名です。
ロシアの軍隊格闘技ということで、国内では学べる所が限られています。
システマ
システマはロシアの合気道とも呼ばれる、軍隊格闘技です。
実戦を想定しており、打撃、組技だけでなく、ナイフや槍、拳銃などの攻防が多く含まれています。
システマやっているから。で有名なように、常にリラックスした状態で攻撃を対処するという脱力や柔軟な対処が特徴の格闘技です。
日本にもシステマジャパンが存在しますが、軍事向けの戦闘術などは指導しないような体制になっています。
クラヴマガ
クラヴマガはイスラエルの軍隊格闘技です。
実戦を想定しており、素手のみでなく武器術や敵が複数であることを想定したトレーニングを行います。
近年では、性別や体格に関係なく習得できるような技術体系も整っているというとこを売りにしており、日本ではフィットネス目的などで性別関係なく幅広い年代の指導もしています。
エスクリマ(アーニス、カリ)
素手だけでなく、棒やナイフ、紐などを使った武器術を含んだフィリピンの国技です。
他の格闘技と比べても武器術にも重点を置いており、素手での技術がそのまま武器に通じているため、様々な武器を扱えるようになるというのが特徴です。
過去にはブルース・リーも学んだ武術であり、燃えよドラゴンの中での武器術はエスクリマの技術の1つと言われています。
これから学ぶ方へ贈る、格闘技の選び方
様々な種類の格闘技を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか
これから格闘技を始められる場合などには、『XXは弱い』『XXは実戦的でない』などネットの色々な情報が目に入り迷うことと思います。
そこで、上記のような様々な種類の格闘技の中から、どのような観点で学ぶ格闘技を選ぶと良いか、何点かピックアップしていきます。
実戦性を望む方こそ、ルールではなく練習内容を見るべき
実戦性を求めると、武道や軍隊格闘技系のルールなしの格闘技に行き着くことがあります。
もし実戦で使えるようにしたいと考える方は、まずはジムや道場を見学して、練習にスパーリングなど対人練習がどれだけあるか確認しましょう。
ノールールを謳う種類の格闘技は、ルールなしであるがゆえにスパーリングをほとんどやらない場合があります。
型や約束組手ばかりやっていて、実際に戦えるようになるのは現実的ではないでしょう。
ノールールと実践練習は非常に相性が悪い(ノールールでスパーリングをやれば怪我をしやすい)ため、競技と実戦の両輪で学んで行くのが正しいやり方です。
何らかの格闘技で、対人の戦い方を学んだあとに実践系の格闘技を取り入れていくまたは並行して学ぶと、本当に使える実戦的な力を身につけることが出来ます。
短時間で強くなりたい場合は、敢えてルールの厳しい種類の格闘技を選ぶ
短時間で強くなりたい場合には、ボクシングや柔道のように、ある程度制約の多い種類の格闘技を選ぶので良いです。
制約が多いということは、何かに特化しており、特化した部分で戦うことが出来るようになるからです。
短期間で強くなりたいことと、実戦的で色々できるようになることの双方を取ろうとするのは、器用貧乏な状態になってしまいます。
思い切って割り切ること、この部分なら負けないという強みを身につける事を優先しましょう。
立地: 通いやすさで選ぶのも1つ
通いやすい立地というのは継続するために、大変なアドバンテージがあります。
どんなに魅力的な格闘技も継続して身に付けなければ意味がありません。
逆に、全ての道はローマに通じるというように、どの格闘技をやっても強くなろうとすることには変わりありません。
例えば本当は総合格闘技がやりたくても、通いやすい近所のボクシングジムでボクシングを学んでおくことは、将来総合格闘技をやるときに必ず武器になります。
ボクシングをやっておけば、同程度の成熟度の総合格闘技選手と戦った場合、パンチ技術は圧倒できるようになっているはずです。
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